准看護師として働きながら、看護師の資格を取るかどうか迷っている人は少なくありません。数字の上では、流れははっきりしています。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、就業している准看護師は233,022人で、2年前から8.4%減りました。同じ期間に看護師は3.9%増えて1,363,142人となり、調査開始以来の最多を更新しています(出典: 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)」)。この記事では、准看護師と看護師の制度上の違いを確認し、看護師国家試験を受けるための道筋と、働きながら進むときに先に確かめておきたいことを整理します。

制度上の違いを確認する
准看護師と看護師は、現場では同じような業務を担っていることも多く、違いが見えにくい資格です。ただ、法律上の位置づけははっきり分かれています。
保健師助産師看護師法5条は、看護師を「厚生労働大臣の免許を受けて」療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者と定めています。一方で6条は、准看護師を「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて」同じ業務を行う者と定めています。
違いは2つです。免許を出すのが国か都道府県か。そして、准看護師の業務は医師や看護師の指示を受けて行うものと条文に書かれていることです。この違いが、任される役割や昇進、給与の差として現場に表れることがあります。准看護師が減り、看護師が増えている流れの中で、この差をどう受け止めるかが、進学を考える出発点になります。
看護師国家試験を受けるための道筋
准看護師から看護師になるには、看護師国家試験に合格する必要があります。受験資格は保助看法21条に定められていて、准看護師向けの道は同条4号にあります。
条文が求めるのは、次の2つのどちらかにあてはまる准看護師が、大学・学校・養成所で2年以上修業することです。
- 免許を得たあと、3年以上業務に従事している
- 高等学校または中等教育学校を卒業している
この「2年以上」の学びの場が、いわゆる2年課程です。保健師助産師看護師学校養成所指定規則4条は、2年課程の入学資格を条文と同じく「免許取得後3年以上の業務従事」または「高校卒業」とし、修業年限を2年以上と定めています。
高校を卒業している准看護師は、業務経験の年数を問われずに入学資格を満たします。高校を卒業していない場合は、免許取得後3年以上の実務経験が必要になります。
通信制という選択肢
同じ指定規則4条には、通信制の課程についての定めもあります。通信制の入学資格は、免許を得たあと5年以上業務に従事している准看護師です。高校卒業の有無ではなく、実務経験の年数で決まります。
通信制は、仕事を続けながら学ぶことを前提にした課程です。通学の負担が小さい一方で、自分で学習を進める力が求められます。臨地実習の扱いや、面接授業(スクーリング)で学校へ出向く日数は、学校ごとに違います。
入学資格の年数は、規則の改正で変わることがあります。古い情報をもとに計画を立てないよう、出願の前に、志望校の募集要項で現行の条件を確認してください。
働きながら進む前に確認すること
2年課程に進む場合、全日制か定時制か、通信制かで、働き方との両立のしかたが大きく変わります。全日制は働きながらの通学が難しく、収入が途切れる期間をどう乗り切るかを先に考える必要があります。定時制や通信制は仕事を続けやすい反面、勤務と学業の時間配分に無理が出やすくなります。
勤務先に進学を支援する制度があるかどうかも確認してください。学費の貸与や、通学日に合わせた勤務の調整を用意している病院もあります。ただし、学費の貸与には、卒業後に一定期間その病院で働くことを条件とするものがあります。いわゆるお礼奉公です。条件の読み方は看護師のお礼奉公を途中で辞めると奨学金の返済はどうなる?で詳しく整理しています。支援を受ける前に、期間と途中で辞めた場合の扱いを書面で確かめておくと、あとで選択肢を狭めずに済みます。
実習の時期と勤務の調整も、早めに職場と話しておきたい点です。臨地実習は日中にまとまった時間を使うことが多く、夜勤を含むシフトとの両立には、上司の理解が欠かせません。
最後に、看護師になった後の働き方も考えておいてください。資格を取ったあと、同じ職場で役割が変わるのか、給与がどう変わるのかは、勤務先によって違います。進学を決める前に、看護師資格を取った先輩がいればその後の待遇を聞いてみると、具体的な見通しが立ちます。
よくある質問
高校を卒業していない准看護師でも看護師になれますか
なれます。保助看法21条4号は、免許取得後3年以上業務に従事している准看護師にも、2年以上の修業による受験資格を認めています。通信制の課程を選ぶ場合は、免許取得後5年以上の業務経験が入学の条件になります。
働きながら看護師の資格を取ることはできますか
定時制や通信制の2年課程は、働きながら学ぶことを想定しています。ただし、実習の期間は勤務の調整が必要になることが多く、職場の協力が欠かせません。進学前に、勤務日数や夜勤の扱いを上司と具体的に話しておくことをおすすめします。
准看護師のまま働き続けるのは不利ですか
准看護師として長く活躍している人も多くいます。ただ、就業者数が減り、看護師が増えている流れの中で、求人の条件や任される役割に差が出る職場があるのも事実です。いまの職場と、この先働きたい場所で、准看護師がどう扱われているかを確かめたうえで判断してください。
まとめ
- 就業している准看護師は233,022人で、2年で8.4%減った。看護師は3.9%増えて過去最多
- 保助看法は、看護師を厚生労働大臣の免許、准看護師を都道府県知事の免許とし、准看護師の業務を医師や看護師の指示を受けて行うものと定めている
- 准看護師が看護師国家試験を受けるには、免許取得後3年以上の業務経験か高校卒業のいずれかを満たし、2年以上修業する(保助看法21条4号)
- 通信制の2年課程は、免許取得後5年以上の業務経験が入学条件(指定規則4条)。出願前に募集要項で現行条件を確認する
- 働きながら進むなら、課程の種類、学費支援の条件、実習と勤務の調整、資格取得後の待遇を先に確かめる
参考にした一次資料
本文の統計と条文は、これらの原典を編集部が直接確認したうえで引用しています。数値は調査年の更新に合わせて見直します。
制度や規定に関する記載は一般的な説明です。入学条件や課程の内容は、志望校の募集要項でご確認ください。
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