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男性看護師のキャリア|10年で6.8%から8.7%へ。少数派として働く現実と、職場選びで確かめたいこと

男性看護師と女性看護師が同僚として並んで働く病棟の風景

男性看護師は、もう珍しい存在ではありません。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、就業している男性看護師は118,068人で、看護師全体の**8.7%**を占めます。2014年(平成26年)の6.8%から、10年間一貫して上がり続けています(出典: 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)」)。それでも、病棟に男性が自分一人という職場はまだ多く、少数派ならではの悩みは残っています。この記事では、数字で現在地を確認したうえで、配置や昇進についての法律の考え方、男性も使える育児の制度、職場を選ぶときに確かめたい点を整理します。

男性看護師の割合は平成26年の6.8%・73,968人から令和6年の8.7%・118,068人へ増加

数字で見る現在地

8.7%という数字は、看護師がおよそ11人いれば1人が男性、という割合です。10年前の6.8%は、およそ15人に1人でした。人数では、同じ10年で73,968人から118,068人へ増えました。一つの職種として十分な厚みがあります。

ただし、この割合は全国の平均です。病院や部署によって偏りがあり、男性が複数いる病棟もあれば、病院全体で数人という職場もあります。部署別や施設別の男女比を示す公的な統計を、編集部では確認できていません。そのため、この記事では「どの診療科に男性が多い」といった数字は示しません。よく語られる傾向はあっても、自分が働く職場の実際は、その職場に聞かなければわかりません。

少数派であることで起きやすいこと

男性看護師の悩みとして挙がりやすいのは、看護の技術そのものより、少数派であることから来るものです。

1つは、ケアの場面での担当の調整です。清拭や排泄の介助などで、患者が同性の看護師を希望することがあります。患者の羞恥心への配慮は看護として大切なことで、個別の場面で担当を代わること自体は、男女どちらの看護師にも起こり得ます。

2つ目は、設備です。更衣室や休憩室、当直室が、男性の人数を想定した作りになっていない職場があります。小さなことに見えますが、毎日のことなので、働きやすさに直結します。

3つ目は、相談相手と手本の少なさです。同じ立場の先輩が身近にいないと、数年先の自分の姿を描きにくくなります。男性の主任や師長がいるかどうかは、その職場で長く働けるかを考える材料になります。

配置や昇進を性別で決めることは禁じられている

個別の場面で患者の希望に配慮することと、性別を理由に配属や昇進を一律に決めることは、別の話です。

男女雇用機会均等法5条は、募集と採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています。同法6条は、労働者の配置、昇進、降格、教育訓練などについて、性別を理由とする差別的な取扱いを禁じています。配置には、業務の配分や権限の付与も含まれます。

この法律は女性のためのものと思われがちですが、条文は「性別を理由として」と書かれていて、男性に対する差別も対象です。たとえば「男性だからこの部署にしか配属しない」「男性だから力仕事や対応の難しい患者を一律に割り当てる」といった扱いが続く場合は、個別の配慮の範囲を超えている可能性があります。

納得のいかない配置が続くときは、まず理由を上司に尋ねてください。理由が「男性だから」以外に説明されない場合は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部門に相談できます。

育児の制度は男性も使える

育児に関する制度は、性別を問わず使えます。ここは、男性看護師が見落としやすい点です。

育児・介護休業法は、育児休業に加えて、子の出生後8週間以内に4週間以内の期間で取れる出生時育児休業を定めています(同法9条の2)。小学校就学前の子を育てる労働者が請求できる深夜業の制限、つまり夜勤の免除(同法19条)も、対象を女性に限っていません。

共働きで、夫婦とも夜勤のある仕事をしている場合、どちらが制度を使うかは家庭ごとに決めることです。「夜勤免除は母親が取るもの」という前提を外すと、家庭全体で選べる形が増えます。 夜勤免除の要件は育休明けの夜勤免除ができない理由は?で、いつまで使えるかは看護師の夜勤免除はいつまで使える?で整理しています。

制度があっても、男性が取った前例のない職場では言い出しにくいものです。だからこそ、取得の実績があるかどうかは、職場選びの段階で確かめておく価値があります。

職場選びで確かめたいこと

転職や就職の場面では、見学や面接で次の点を聞いてみてください。どれも、聞いて失礼にあたる質問ではありません。

  • 男性看護師は何人いるか。配属はどの部署に分かれているか
  • 男性の主任、師長など、役職に就いている人はいるか
  • 男性用の更衣室や休憩の場所はどうなっているか
  • 男性職員の育児休業の取得実績はあるか
  • 配属の希望はどのように聞かれ、どう決まるか

人数が多ければよいという単純な話ではありませんが、具体的に答えられる職場は、男性看護師がいることを前提に運営されています。 答えがあいまいな職場では、入ってから自分が最初の一人として環境を整える役回りになるかもしれません。それを引き受けるかどうかも含めて、判断材料にしてください。

給与や昇給の仕組みそのものは、性別で変わりません。看護師の収入の構造は看護師の給料はなぜ頭打ちになるのかで整理しています。

よくある質問

男性看護師は配属先が限られますか

性別を理由に配置を決めることは、男女雇用機会均等法6条で禁じられています。一方で、実際の配属が職場の事情に左右されるのも事実です。希望する部署がある場合は、応募の段階で配属の決め方と、その部署に男性看護師の受け入れ実績があるかを確認してください。

患者から担当を断られたら、どう受け止めればいいですか

ケアの内容によっては、同性の看護師を希望する患者がいます。これは看護師個人への評価ではなく、羞恥心への配慮の問題です。チームで担当を調整することは通常の対応で、女性の看護師にも起こり得ます。特定の人だけに負担が偏る場合は、チームの中で分担の仕方を話し合う対象になります。

男性看護師でも夜勤免除は請求できますか

できます。育児・介護休業法19条の深夜業の制限は、小学校就学前の子を養育する労働者が対象で、性別の限定はありません。ただし、深夜に子を保育できる同居の家族がいる場合など、請求できない条件も定められています。

まとめ

  • 男性看護師は118,068人で看護師全体の8.7%。2014年の6.8%から一貫して上昇している
  • 部署別の男女比を示す公的統計は確認できていない。職場の実際は、その職場に聞いて確かめる
  • 個別の場面での患者への配慮と、性別で配属や昇進を一律に決めることは別。後者は均等法6条が禁じている
  • 出生時育児休業や夜勤免除など、育児の制度は男性も使える
  • 職場選びでは、男性看護師の人数と配属、役職者の有無、設備、育休の取得実績、配属の決め方を確かめる

参考にした一次資料

本文の統計と条文は、これらの原典を編集部が直接確認したうえで引用しています。数値は調査年の更新に合わせて見直します。

制度や規定に関する記載は一般的な説明です。詳細は勤務先の規定や専門家にご確認ください。

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白衣キャリア編集部

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