看護師

看護師が転職エージェントになるには|必要な資格、仕事の中身、収入の仕組みと、向いている人・向かない人

病棟から白衣を脱いで転職支援の面談に携わる仕事へ移る看護師

転職を経験した看護師が、次に「支える側」に回りたいと考えることがあります。看護師の転職を専門に扱うエージェントで、キャリアアドバイザーとして働く道です。臨床の経験がそのまま生きる仕事に見えますが、仕事の中身と収入の仕組みは、看護とはまったく違います。この記事では、転職エージェントという事業の法律上の位置づけ、資格の要不要、収入の構造、看護師の経験が生きる場面と、決める前に確かめておきたい働き方を整理します。この仕事を勧める記事でも、止める記事でもありません。 判断の材料を並べます。

求職者の看護師、アドバイザー、医療機関の関係。紹介手数料は医療機関からエージェントへ支払われる

転職エージェントという事業の仕組み

転職エージェントは、法律上は「有料職業紹介事業」です。職業安定法30条1項は、有料の職業紹介事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。許可を受けるのは会社であって、個人のアドバイザーではありません。

手数料についても定めがあります。同法32条の3は、許可を受けた事業者が受け取れる手数料を、厚生労働省令で定める種類と額のものか、あらかじめ届け出た手数料表にもとづくものに限っています。看護師の転職では、求職者からではなく、採用した医療機関から手数料を受け取る形が一般的です。

その水準は、厚生労働省の調査からわかります。令和元年の「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」では、看護師・准看護師の紹介手数料は1件あたり平均91.8万円で、平均年収479.9万円に対する割合は19.1%でした(出典: 厚生労働省「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査(令和元年)」)。

つまり、アドバイザーの仕事は、看護師が入職して初めて会社の売上が立つ仕組みの上にあります。 この構造を理解しないまま入ると、入ってから戸惑うことになります。

資格は必要か

キャリアアドバイザーとして働くために、法律上必要な資格はありません。看護師免許も要件ではなく、看護の経験がない人も多く働いています。

一方で、関係する国家資格として、キャリアコンサルタントがあります。職業能力開発促進法30条の3は、キャリアコンサルタントを「キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とする」者と定め、同法30条の28は、キャリアコンサルタントでない者がその名称や紛らわしい名称を使うことを禁じています。名称独占の資格で、持っていなければ相談業務ができないという性質のものではありません。

看護師から移る場合、資格より先に問われるのは、看護の現場を知っていることです。病棟の忙しさ、夜勤の負担、人間関係の構図、辞めたい理由の言葉にならない部分。求職者の話を聞いたときに「わかる」と言えることが、この仕事での最初の強みになります。 求人側の医療機関と話すときにも、現場の言葉で条件を確認できます。

仕事の中身と、看護との違い

日々の仕事は、求職者との面談、求人の提案、応募書類の添削、面接の日程調整、条件の交渉、入職後の確認です。加えて、医療機関から求人を預かる営業の側面があります。会社によって、求職者担当と求人担当を分けているところと、一人で両方を担うところがあります。

看護と大きく違うのは、次の点です。

  • 評価が数字で出ます。 担当した求職者が何人入職したか、それによって売上がいくら立ったかが、そのまま評価と、多くの場合は給与に結びつきます
  • 相手の決断を待つ仕事です。看護は目の前の患者に自分が行う仕事ですが、アドバイザーは、求職者が決めなければ何も進みません
  • 電話とメールが仕事の中心になります。看護師として転職したときに、エージェントからの連絡の多さに閉口した経験があるなら、今度は自分がその立場になります

3つ目については、当サイトでも転職サイトに登録したら電話が止まりませんという相談を扱っています。求職者がどう感じているかを知っている看護師だからこそ、連絡の仕方を考えられる面はあります。ただ、会社の方針として連絡の頻度が決められている場合、個人の裁量には限りがあります。

収入の仕組みで確かめること

求人票には「年収400万〜700万円」のような幅のある表記がよく見られます。この幅の意味を、応募の前に確かめてください。

多くの場合、基本給に成果に応じたインセンティブが加わる形です。幅の下のほうが基本給だけの水準、上のほうが成果を上げた場合の水準を示していることがあります。確かめるべきは、基本給の額と、インセンティブの計算方法、そして成果が出なかった月に何が起きるかです。 看護師の給与は夜勤手当を除けば安定していますが、この仕事の収入は月ごとに変動することがあります。

勤務時間も確認してください。求職者は日中働いているため、面談は夕方以降や休日に入ることがあります。夜勤はなくなりますが、定時に帰れる仕事とも限りません。

看護師の収入の構造との比較は看護師の給料はなぜ頭打ちになるのかで整理しています。移った場合に何を得て何を手放すのかを、数字で並べてみてください。

向いている人、向かない人

向いているのは、人の話を聞くことが苦にならず、相手の決断を待てて、数字で評価されることを受け入れられる人です。自分が転職で迷った経験を、他の人の判断材料に変えたいという動機も、この仕事に合っています。

向かないのは、目の前の患者に手を動かすことに看護の喜びを感じていた人、売上という言葉に強い抵抗がある人、電話が苦手な人です。これは能力の優劣ではなく、仕事の性質との相性です。

そして、移る前に一度立ち止まってほしいことがあります。「看護が嫌なのか、いまの職場が嫌なのか」です。後者であれば、職場を変えることで解決する可能性があります。非臨床の選択肢を広く見たい場合は看護師資格を活かせる非臨床の仕事にまとめています。転職エージェントは、その中の一つです。

よくある質問

看護師免許は転職エージェントの仕事に必要ですか

法律上の要件ではありません。ただし、看護師の転職を扱う会社では、現場を知っていることが求職者との面談や医療機関との交渉で生きるため、看護師経験者を採用する会社があります。

キャリアコンサルタントの資格は取ったほうがよいですか

取らなくても仕事はできます。キャリアコンサルタントは名称独占の国家資格で、名乗るには登録が必要ですが、相談業務そのものは資格がなくても行えます。会社によっては取得を支援する制度があるため、入ってから考えても遅くありません。

看護師に戻ることはできますか

免許は失効しないため、戻ること自体はできます。ただし、臨床を離れた期間が長くなるほど、手技や知識の更新が必要になります。戻る可能性があるなら、離れる期間の目安を決めておくことをおすすめします。ブランク後の戻り方はブランクのある看護師の復職を参考にしてください。

まとめ

  • 転職エージェントは職業安定法にもとづく有料職業紹介事業で、許可を受けるのは会社。手数料は採用側の医療機関から受け取る形が一般的
  • 看護師の紹介手数料は1件あたり平均91.8万円、年収に対して19.1%(令和元年調査)。求職者が入職して初めて売上が立つ仕組み
  • アドバイザーに法律上必要な資格はない。キャリアコンサルタントは名称独占の国家資格で、業務の要件ではない
  • 看護の現場を知っていることが最初の強みになる一方、評価は数字で出て、相手の決断を待つ仕事になる
  • 応募前に、基本給とインセンティブの計算方法、成果が出なかった月の扱い、面談が入る時間帯を確かめる

参考にした一次資料

本文の条文と統計は、これらの原典を編集部が直接確認したうえで引用しています。

制度や規定に関する記載は一般的な説明です。個別の求人の条件は、応募先にご確認ください。

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白衣キャリア編集部

看護師・薬剤師の転職と働き方に関する情報を、中立の立場で整理して届ける編集チームです。記事は編集方針に基づいて制作し、公開前に法令・広告表示のチェックを行っています。制度・統計に関する記述は一次情報を確認のうえ掲載し、公開後も定期的に見直しています。運営会社: 株式会社プロフィット(運営担当: 内藤 啓)

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