薬剤師が足りない県はどこか。自分の県は多いのか少ないのか。この問いには、国の統計がはっきりした数字で答えています。厚生労働省の令和6年の統計によると、薬局と医療施設で働く薬剤師は、全国平均で人口10万人あたり210.6人。もっとも多い徳島県は256.6人、もっとも少ない沖縄県は155.3人で、1.6倍を超える差があります。この記事では、47都道府県すべての数字を載せたうえで、この数字が何を示していて、何を示していないのかを整理します。

47都道府県の一覧
数字は、令和6年12月31日時点で、薬局と医療施設に従事する薬剤師の人口10万人あたりの人数です。従業地、つまり働いている場所の都道府県で集計されています(出典: 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」 統計表10)。
| 都道府県 | 人数 | 都道府県 | 人数 | 都道府県 | 人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 202.7 | 石川 | 203.6 | 岡山 | 198.7 |
| 青森 | 175.5 | 福井 | 170.4 | 広島 | 231.6 |
| 岩手 | 188.5 | 山梨 | 208.5 | 山口 | 224.7 |
| 宮城 | 210.4 | 長野 | 203.7 | 徳島 | 256.6 |
| 秋田 | 198.8 | 岐阜 | 190.0 | 香川 | 215.0 |
| 山形 | 186.7 | 静岡 | 198.2 | 愛媛 | 211.7 |
| 福島 | 188.9 | 愛知 | 186.3 | 高知 | 226.7 |
| 茨城 | 188.3 | 三重 | 186.0 | 福岡 | 223.1 |
| 栃木 | 191.4 | 滋賀 | 202.7 | 佐賀 | 215.4 |
| 群馬 | 187.0 | 京都 | 203.3 | 長崎 | 201.8 |
| 埼玉 | 200.8 | 大阪 | 232.4 | 熊本 | 203.6 |
| 千葉 | 205.6 | 兵庫 | 245.6 | 大分 | 193.9 |
| 東京 | 240.3 | 奈良 | 199.7 | 宮崎 | 186.7 |
| 神奈川 | 223.6 | 和歌山 | 215.6 | 鹿児島 | 194.8 |
| 新潟 | 186.1 | 鳥取 | 195.1 | 沖縄 | 155.3 |
| 富山 | 189.6 | 島根 | 192.2 | 全国 | 210.6 |
多い県と少ない県
上位と下位を並べると、次のようになります。
| 多い順 | 人数 | 少ない順 | 人数 |
|---|---|---|---|
| 徳島 | 256.6 | 沖縄 | 155.3 |
| 兵庫 | 245.6 | 福井 | 170.4 |
| 東京 | 240.3 | 青森 | 175.5 |
| 大阪 | 232.4 | 三重 | 186.0 |
| 広島 | 231.6 | 新潟 | 186.1 |
全国平均の210.6人を上回っているのは13都府県で、残りの34道府県は平均を下回っています。平均を引き上げているのは、東京、大阪、兵庫などの大都市圏と、徳島、高知、山口、広島、福岡といった西日本の県です。
意外に見えるのは、愛知県が186.3人と下から6番目にあることです。 人口の多い県でも、人口あたりで見ると薬剤師が少ない県があります。東北と北関東、北陸、東海は、全体として平均を下回る県が並んでいます。
西日本に多い県が目立つ背景として、薬学部のある大学の所在地との関係がよく挙げられます。ただし、この統計そのものは理由までは示していません。ここでは数字の事実だけを確認しておきます。
この数字が示していないこと
人口あたりの薬剤師数は便利な指標ですが、そのまま「足りている・足りていない」と読むことはできません。次の3点に注意が必要です。
1つ目は、県の中の偏りです。同じ統計には、指定都市や中核市の数字も載っています。たとえば宮城県は全体で210.4人ですが、仙台市だけを見ると256.8人です。県庁所在地に集まり、それ以外の地域では少ない、という構図は多くの県に共通しています。県の数字が平均並みでも、働く地域によって状況はまったく違います。
2つ目は、需要の違いです。高齢者の割合、病院や診療所の数、処方せんの枚数は地域によって異なります。人口あたりの人数が同じでも、必要とされる薬剤師の数は同じではありません。このため国は、人数だけでなく需要も織り込んだ薬剤師の偏在指標を別に設け、都道府県ごとに薬剤師の少ない区域を指定しています。
3つ目は、業態の内訳です。この数字は薬局と医療施設の合計です。国は、地域の偏在とあわせて、病院薬剤師の不足を課題として挙げています。薬局の薬剤師は足りていても、病院では足りない、という地域があります。
転職で使うときの読み方
この一覧を、働く場所を考える材料として使うなら、次のように読むのが現実的です。
人数が少ない県では、薬剤師を集めにくい分、求人の条件が良くなる傾向があります。住宅の補助や引っ越し費用の支援が付くこともあります。ただし、これは傾向であって、個々の求人の保証ではありません。同じ県の中でも、法人や地域によって条件は大きく変わります。
人数が多い県では、求人に応募が集まりやすく、条件の交渉は難しくなりがちです。その代わり、職場の選択肢が多く、合わなければ移るという判断がしやすくなります。
県の数字は入口にすぎません。 実際に働く市町村や区域の求人を複数比べ、その区域が薬剤師の少ない区域に指定されているかを確かめてください。地方で働く場合の仕事内容や生活の変化は地方で働く薬剤師という選択で、全国の需給の見通しは薬剤師はいつ飽和するのかで整理しています。
よくある質問
薬剤師がいちばん少ない県はどこですか
令和6年の統計では、沖縄県が人口10万人あたり155.3人でもっとも少なく、次いで福井県の170.4人、青森県の175.5人です。数字は薬局と医療施設に従事する薬剤師の、従業地による集計です。
薬剤師が少ない県に行けば、年収は上がりますか
少ない地域では条件の良い求人が出る傾向はありますが、どこでも上がるとは言えません。法人や区域による差が大きく、車の維持費や帰省の費用など、生活にかかるお金の構造も変わります。提示額だけでなく、条件の内訳と生活費を合わせて比べてください。
この数字は毎年変わりますか
医師・歯科医師・薬剤師統計は2年ごとに公表されます。今回の数字は令和6年12月31日時点のもので、次回の公表で更新されます。この記事の数字も、公表に合わせて見直します。
まとめ
- 薬局・医療施設で働く薬剤師は、全国平均で人口10万人あたり210.6人(令和6年12月31日時点)
- もっとも多いのは徳島県の256.6人、もっとも少ないのは沖縄県の155.3人で、1.6倍を超える差がある
- 平均を上回るのは13都府県。大都市圏と西日本に多く、東北・北関東・北陸・東海は平均を下回る県が多い
- 県の数字は、県内の偏り、需要の違い、薬局と病院の内訳を示していない
- 転職で使うときは、県の数字を入口にして、実際に働く区域の求人と、薬剤師の少ない区域の指定を確かめる
参考にした一次資料
- 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計」(統計表10 人口10万対医師・歯科医師・薬剤師数、従業地による都道府県別)
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制度や統計に関する記載は一般的な説明です。個別の求人の条件は、応募先にご確認ください。
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