看護師お悩み相談

ブランク7年で復職して3か月。仕事ができなくて、もう辞めたいです【看護師のお悩み相談】

復職後の学び直しを同僚と進める看護師と、相談・回答の二つの吹き出し

相談内容

出産を機に病棟を離れ、7年のブランクを経て、3か月前に一般病棟へ常勤で復職しました。覚悟はしていたつもりですが、電子カルテの操作も、物品の場所も、点滴の機器も以前と違い、毎日誰かに聞かないと動けません。指導についてくれている年下の看護師さんは丁寧ですが、忙しそうで、同じことを二度聞くのがつらいです。先日は点滴の更新が遅れて、先輩に代わってもらいました。ブランク前は普通にできていたことが、できない。家に帰ると子どもの前で泣きそうになります。復職したこと自体が間違いだったのでしょうか。

※ 相談内容は、よく寄せられる悩みをもとに編集部で再構成したものです

編集部の回答(結論)

間違いではありません。3か月目のつまずきの多くは、看護の力が失われたからではなく、その病院のやり方にまだ慣れていないことから来ています。「できない」の中身を、忘れたこと・変わったこと・その職場特有のことに分けてください。分けたうえで、教わり方と勤務の形を職場と決め直す余地があります。辞める判断は、それを試してからで遅くありません。

「復職したこと自体が間違いだったのでしょうか」。先に答えます。間違いではありません。ただ、いまのつらさを「そのうち慣れます」の一言で済ませるつもりもありません。7年離れていた人が、3か月で以前と同じように動けないのは当然のことです。問題は、その当然のことを、あなたが自分の能力の問題として一人で抱えている点にあります。この記事では、「できない」の中身を分けるところから始めて、職場と決め直せること、勤務の形を変える選択肢、辞めるかどうかを考える順番を整理します。

「できない」の中身を3つに分ける

毎日誰かに聞かないと動けない。そう感じているとき、頭の中では全部が「できない」という一つの塊になっています。これを分けてみてください。

1つ目は、忘れていることです。手技の細かい手順、薬剤の知識、観察の要点。これは学び直せば戻るもので、7年前に身につけた土台があるぶん、新人よりずっと早く戻ります。

2つ目は、この7年で変わったことです。電子カルテ、輸液ポンプなどの機器、感染対策の手順、記録の様式。これはブランクのある人に限らず、他院から移ってきた経験者も同じように戸惑う部分です。あなたの力が落ちたのではなく、道具が変わっただけです。

3つ目は、その病院、その病棟に特有のことです。物品の場所、申し送りの流儀、医師ごとの指示の出し方、暗黙の段取り。これは誰が入っても最初はわかりません。

相談文に出てくる困りごとを当てはめてみると、電子カルテ、物品の場所、点滴の機器は、2つ目と3つ目にあたります。いまのつまずきの大半は、看護の力ではなく、環境への慣れの問題です。 1つ目にあたるものは、思っているより少ないかもしれません。ノートに3列を作って、今週困ったことを書き分けてみると、何から手をつければいいかが見えてきます。

教わり方を、職場と決め直す

同じことを二度聞くのがつらい、という気持ちはよくわかります。ただ、ここには仕組みで解決できる部分があります。

まず、聞く相手と時間を決めてもらうことです。忙しい業務の合間に都度聞く形は、聞く側にも答える側にも負担がかかります。「勤務の終わりに10分、その日わからなかったことをまとめて確認する時間をもらえませんか」と、師長か指導担当の看護師に相談してみてください。都度聞くことが減るだけで、気持ちの負担は大きく変わります。

次に、独り立ちの目安を言葉にしてもらうことです。いつまでに何ができていればよいのかが示されていないと、できないことばかりが目に入ります。「夜勤に入るまでに、何ができていればいいですか」と聞けば、職場側も期待する水準を整理する機会になります。

点滴の更新を先輩に代わってもらった件は、失敗ではなく、安全のための正しい連携です。間に合わないと判断して早めに助けを求められることは、経験のある看護師だからできる判断でもあります。

病院の外にも頼れる場所があります。各都道府県に置かれているナースセンターは、看護師への研修や、情報の提供、相談を業務としています(出典: e-Gov法令検索「看護師等の人材確保の促進に関する法律」第15条)。条文上、対象は仕事を探している人に限られていません。職場の中で話しにくいことは、外の窓口で整理してみるのも一つの方法です。受けられる相談の内容は地域によって違うので、お住まいの都道府県のナースセンターに確認してください。

勤務の形を変えるという選択肢

7年のブランクから、いきなり一般病棟の常勤に戻るのは、かなり負荷の高い入り方です。続けるか辞めるかの二択の前に、形を変える道があります。

同じ病院の中で、しばらく日勤のみにしてもらう、勤務日数を減らす、外来など業務の範囲が比較的絞られた部署へ移る、といった相談ができないか、師長に聞いてみてください。病院にとっても、採用した看護師に辞められるより、形を変えて続けてもらうほうがよい場合は多いものです。

それが難しい場合は、職場を変えることも視野に入ります。ブランク明けの看護師を受け入れた実績があり、教える体制が整っている職場は実際にあります。段階を踏んだ戻り方についてはブランクのある看護師の復職|怖さの正体と、段階的な戻り方に、日勤中心の職場の種類は夜勤なしで働きたい看護師の選択肢にまとめています。

ここで大事なのは、職場を変えることを「逃げた」と数えないことです。入り方が合わなかっただけで、看護師に戻るという選択そのものが否定されたわけではありません。

辞めるかどうかを考える順番

それでも、もう限界だと感じる日はあると思います。決める前に、次の順番で確かめてみてください。

最初に、体と心の状態です。眠れない、食べられない、出勤前に動悸がする、といった状態が続いているなら、続けるか辞めるかの前に、休むことと受診が先です。

次に、この記事で書いた「分ける」「決め直す」「形を変える」を、一つでも試したかどうかです。何も変えないまま辞めると、次の職場でも同じ入り方をして、同じところでつまずく可能性があります。

そのうえで、半年を一つの区切りにしてみてください。3か月目は、できないことがもっともはっきり見える時期です。できるようになったことは、自分では気づきにくいものです。1か月前に聞いていて、いまは聞かずにできていることを数えてみると、進んでいることがわかります。

お子さんの前で泣きそうになるほど頑張っている時点で、あなたは十分に真剣です。足りないのは能力ではなく、戻るための時間と、教わる仕組みです。

同じ状況にいる方へのチェックリスト

  • 今週困ったことを「忘れたこと」「変わったこと」「その職場特有のこと」に書き分けたか
  • 質問をまとめて確認できる時間を、師長か指導担当に相談したか
  • 独り立ちの目安(いつまでに何ができればよいか)を言葉にしてもらったか
  • 1か月前は聞いていて、いまは聞かずにできていることを数えたか
  • 日勤のみ、日数を減らす、部署を移るなど、形を変える相談をしたか
  • 眠れない、食べられないなどのサインが続いていないか。続いているなら受診を考えたか
  • 都道府県のナースセンターなど、職場の外の相談先を調べたか
  • 辞める場合、次は教える体制のある職場を選ぶための確認項目を用意したか

制度や規定に関する記載は一般的な説明です。詳細は勤務先の規定や専門家にご確認ください。

関連記事: ブランクのある看護師の復職|怖さの正体と、段階的な戻り方 関連記事: インシデントが続き、看護師に向いていないとしか思えません。辞めるべきでしょうか【看護師のお悩み相談】 関連記事: 夜勤なしで働きたい看護師の選択肢|日勤のみの職場と収入・キャリアへの影響

最終確認:

執筆

白衣キャリア編集部

看護師・薬剤師の転職と働き方に関する情報を、中立の立場で整理して届ける編集チームです。記事は編集方針に基づいて制作し、公開前に法令・広告表示のチェックを行っています。制度・統計に関する記述は一次情報を確認のうえ掲載し、公開後も定期的に見直しています。運営会社: 株式会社プロフィット(運営担当: 内藤 啓)

プロフィールを見る